日本最大級のパパコミュニティから「ユルさ」を学ぶ!
日本橋パパの会
【後編】日本橋エリアを盛り上げる強者たちの挑戦(5)

懇親会では主にどのような話をされるかについても伺った。 右から伴野さん・川上さん・高村さん。

前編はこちらになります。

サードプレイスがより生活の近いところに存在している

高坂 パパ会のようなコミュニティでこれだけの規模はおそらく日本には無いと思います。正直なところ異色だと感じています。「ユルさ」がポイントだとお話しされていましたが、そうしたユルい中でのコミュニティに参加されて、実体験としてどんなときに良かったなと感じますか。

高村 まず言えるのは、前代表である鹿子木さんに「ユルいカリスマ性」があって、そこからこのユルさができたっていうのはありますね。

眞鍋 鹿子木さんは空気感の作り方がすごく上手くて、パパ会って参加メンバーに対して「権利」しかないんですよ。イベントがあったときに「あなたは〇〇係で、これをやってください。」というような、メンバーが負担に思う要素や、何かしらの義務を負わせない。

高坂 今の世の中の人たちって家族でもなく、職場でもなく、サードプレイスをうまく作って、その中で自分の居心地の良さやハッピーの本質を見つけようとしています。そうした「サードプレイス」や「共同体」を作りたいと思っている人が多くいる中で、パパ会の皆さんは言語化しなくてもできている。その辺りはどのようにお考えですか。

高村 キーワードとして「育児」というのがあって、そのプライベートの中で一番重要なファクターについて、例えば、「育児あるある」とかですごく簡単に共有することができる。それだけでも一体感というか、そういうのって、本当に楽しいんですよね。

伴野さん(以下、伴野) ぼく自身、独身期間が長かったということもあり、趣味のサークルは一旦終えていて、未就学児がいる期間は、正直そういったことがやりにくいんですよね。なので、趣味のサークルはとても続けられないから、このくらいユルい活動がちょうど良いっていうのはあるかもしれませんね。

眞鍋 サードプレイスなんだけど、毎日の生活の延長や育児の派生だから、「2.5」くらいの位置付けかな・・・。

山下 そうそう、サードじゃないよね。

全員 そうだね!確かに!

山下 みんな子どもがいるから育児がある。まず子ども中心だからドタキャンもあるし、時間はルーズだし、だけどそういったことに対して怒る人もいない。

川上 パパ飲みは基本、みんな時間を守らないから・・・(笑)。

山下 例えば、子どもと一緒に遠足に行くイベントなんかは、来たいときに来て、帰りたいときに帰るっていうスタンス。というよりドタキャン前提で全部組み立てているんです。

川上 みんな子どもがいるから時間を守れないっていうのが、共通認識としてあるんですよね。

高村 そう。だから、生活がある程度見えているっていう意味では、もはやサードプレイスではなくて、もっと家族寄りだと思うんですよ。

川上 やっぱり趣味だと、ちゃんと場所を押さえてだったり、時間きっかりにやる必要がある。パパ会は趣味じゃないから、さっきあったような「2.5」のように生活の一部になっている。大部分のパパ達は徒歩圏内に住んでいるから、全然カッチリしていなくても成り立っているんですよね。

個々が自立したパパ達が集まっているからこそ成り立つ

高村 パパ会って何となくですけど、親戚っぽい繋がりがありますよね。そんなユルさ、あれに若干近い気がしています。良い意味で何も求めていないのかもしれない。

全員 ああ〜!!!確かにね。

山下 求めていないって、しっくりきますね。

眞鍋 お互いに依存せず、相手に求めていないは本当におっしゃる通りだなと。貸し借りゼロですからね。

高村 そうそう!会費も払っていなければ、何の義務感も無いわけで。

高坂 皆さん定期的に集まって、様々なイベントをされて、きちんとユルく繋がっていて、バランスよく保っていますね。

山下 鹿子木さんが言っていたのは、「来るもの拒まず、去る者追わず」。残りたい人だけが残っているというのはありますね。

高村 サードプレイスをほしがっている人って、おそらく何かを求めていると思うんです。そうした人は何かが欠けていて、何かを補いたいから探しているんですよね。

高坂 皆さん仕事も家庭も成熟して、自分たちでされていて、そのベースを保ちながら時間をうまく使っている。サードプレイスを求めている時点で何か足りていないものがあって、それを補いたいがために探しているのは、逃げに近いかもしれない。

定例の懇親会での1コマ。和気あいあいと賑やかな様子が伝わってくる。

地域に関わる初めの一歩、「ユルい」玄関口のような役割

高坂 定例の懇親会ではどのようなお話をされるんですか。

川上 あんまり仕事関係の話はしないですね。本当に近い人たちは仕事の話をするかもしれないけれど、どちらかというと子育て関連というと良いように聞こえるかもしれませんが、、、。

伴野 子育てというと硬すぎますが。子ども関連の話はしますが、子育て論はしないです。

山下 やっぱり町の話が多い気がするね。例えば、「人形町のココに新しいお店ができた」とか、そうした話が多いと思う。

眞鍋 またパパ会プレゼン大会やりましょうよ!

高坂 プレゼン大会があるんですか?

山下 隔月に開催している懇親会で、希望者がプレゼンをするというのがあります。部活動のことや消防団、お祭りの神輿担ぎへの勧誘をするんです。

高村 そのようなプレゼン大会があると、初めて来たパパたちにも何をやっているのかイメージしやすいから良いですよね。

眞鍋 町内会という組織は入ってみるとウェルカムだけど、新しく転入して来た人たちから見るとすごくハードルが高いですからね。

高村 町内会の入口って、なんだかんだ言っても、敷居が高いんですよね。

眞鍋 だからパパ会のような立ち位置の組織が、町内会や消防団との仲介役を担うような。

高村 橋渡しをする。

山下 そうしたい人もいて、そうではない人にとっては、その間のユルい組織で繋がることはできんですよね。

間口は広く、縦横に広がるコミュニティへ

高坂 新体制での今後の目標、やってみたいことなどありましたら、みなさん教えてください。

川上 部活動がいっぱいあるなかで、いかに事務局がサポートして部活動をしやすい環境を作ることができるか、ということですかね。

高村 みんなでやりたいねっていう人達がどんどん手を挙げていけるような、それをフォローできるような組織にしたいです。

眞鍋 「やりたいことがあれば手を挙げてください、事務局がサポートしますよ」という立ち位置なんですね。あとは、パパ会を未就学児としているけれども、もっとタテに伸ばしてもいいんじゃないかと思っています。

伴野 課題としては、子どもの年齢の幅が広くなってきてるから、どこの年齢層でも隔たりなく参加できる企画を用意していきたいです。

高村 いろんな家族構成、いろんな年齢の子どもたち、みんなで参加できるイベントっていうのが、なかなか難しいんですよね。

伴野 その一つがバーベキューだと思うんですけど、それ以外に何かあってもいいんじゃないかと思います。

高村 前代表の鹿子木さんたちが作り上げたパパ会を、ぼくらの手で形にしていくというのは大きいテーマですね。あとの世代にキチンとした引き継ぎができるようにするというのは、一つ大きな使命だと思います。

眞鍋 しっかりと引継ぎをできる組織にするというのは凄く大事な話だと思う。

高村 そうした事務局の苦労を極力見せないようにしつつ、「ユルさ」は大切にしていかないとね。

伴野 そして、「間口は広く」ですね。

眞鍋 あとは地元の会社の人や近所の老舗の店主等、そうした人達ともっと触れ合っていきたいですね。企業タイアップができるのは、企業の本社が多く立地するこの日本橋エリアの特性だと思いますからね。

高坂 「ユルさ」や「間口を広く」というコンセプトは簡単そうですが、事務局の人たちの支えがあるからこそ組織として実現できているのですね。
皆さん、本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。

2016年9月、浜町公園で行われた日本橋パパの会バーベキュー。

 

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家庭も仕事もしっかりとされていて、満たされているからこそ2.5プレイスであるパパ会を全力で楽しみながら共有することができる。だからこそユルさは心地よく、多くの人を惹きつけ、長く続きながら繋がっているのでしょう。

サードプレイスを求めた訳ではなく、同じ状況の人達が集まったときに親戚のような2.5の場所ができ上がりました。そうしたお話や表現がとても印象的でしたし、町内会や消防団の窓口にもなり得るパパ会はとても稀有な存在だと感じました。

そうした町内での橋渡し役になっていることを、ユルい中で組織として果たしていることに感激し、一層興味を引きます。この先もユルさが受け継がれながら、日本橋にとって大切な居場所となれば幸いです。


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(執筆担当:BETTARA STAND 日本橋  高坂信也)