日本最大級のパパコミュニティから「ユルさ」を学ぶ!
日本橋パパの会
【前編】日本橋エリアを盛り上げる強者たちの挑戦(5)
昨年2016年の11月に「日本橋パパの会(以下、パパ会)」の設立5周年パーティーが行われ、同時に前代表 鹿子木享紀(かのこぎ みちのり)さんが交代しての新体制が発足。「仲良くなろう」「助け合おう」「地域とつながろう」をキーワードとし、定例の懇親会だけに留まらず、様々なイベントを企画、開催してきました。そうした中でパパ会は「ユルさ」がベースにあると言います。
「ユルさ」とは一体何なのか、パパ会の実態について、新体制である代表(高村さん)、4人の事務局(川上さん・伴野さん・松井さん・山下さん)、パパ会メンバー(眞鍋さん)の皆様にお話をお伺いしました。
(インタビュアー&撮影:BETTARA STAND 日本橋 高坂信也)
-日本橋パパの会 プロフィール
2011年に日本橋堀留町保育園のパパ達を中心に結成。現在は163名(2016年12月現在)が登録しており、子どもをもつパパが集まっている。日本橋エリアに住んでいる方に限らず、勤めている方、さらには日本橋が大好きな方にも門戸を広げ、年齢や職種、出身地が異なるパパたちの交流の場となっています。
定例として2ヶ月に1度の懇親会を行っており、各種イベントを企画したり、有志を募って行うパパラン部や自転車部などの部活動が盛ん。他にも地域のイベントやお祭りに参加、運営を担うなどの活動を展開しています。

やりたいことは部活動化。部活動がおもしろい!
高坂 本日はよろしくお願い致します。
ホームページで拝見させていただくと現在会員160人を超えていましたね。160人以上のパパが集まる大規模な組織なのだと驚きました。
松井さん(以下、松井) 年末の時点で163人でした。基本的には未就学児のパパの集まりですが、設立から5年が経ち、はじめに入ってきたパパたちの子どもは小学生になっていますね。
眞鍋さん(以下、眞鍋) パパ会の登録上ではそれなりの人数となっていますが、イベントの内容によって、「初めて参加します。」という人も少なくないですね。
高坂 在籍されてはいますが、Facebookやメーリングリストをチェックしているだけということですか?
眞鍋 そうですね。ロム専(※チャットや掲示板などで自ら書き込みをせず、書き込まれるコメントを読むだけの人のこと)の方も多く、子どもと参加できるお祭りや町の情報収集の場として活用されています。ご自身と子どもたちに、もっとリアルな触れ合いの場がほしい人はバーベキュー等のイベントに参加したり、自分で部活を立ち上げたりします。例えば松井さんはパパ会「動画部」として活動されていますよね。
高坂 ホームページに載っていた代表交代の動画ですね。あれはインタビュアーも含めメンバーの方たちで制作されたんですか?
前代表鹿子木さんによる代表交代発表のインタビュー映像。
松井 そうなんです。パパラン部やテニス部、自転車部など、各々が興味のある部活動に自主的に参加していますね。その中でも、ぼくは動画を撮るのが好きなんですすが、今は1人だけです(笑)。部活動という目線からパパ会をオープンに見せていくのもオモシロイのでは、ということで始めました。
高村さん(以下、高村) 実際に全員参加型のイベントとしては、2ヶ月に1回開催する懇親会と、春と秋に企画するバーベキュー等に限られています。「やりたい人集まれ〜!」みたいな活動が多いかもしれないです。「この指とまれ!」な感じですね。
高坂 では、パパ達がやりたいことや好きなことを言い合い、それに対して一緒にやってみたい人が集まるイメージでしょうか。
眞鍋 そうです。例えば◯◯サークルのように子育てに必要なコンテンツ(例えば、英語レッスンやダンス等)から組織やイベントに落とし込むのではありません。パパ達自身のニーズからコンテンツを生み出しています。
パパたちは「やりたい事」をそれぞれ持っています。1人でやるより大勢でやった方が楽しいから「みんなでやろう!」と声を掛ける。メンバーのリアルなニーズに基づき「プラットフォーム(パパ会)」を利用するからこそ、長く続いているんだと思います。
高村 そうですね。あんまり事務局サイドが「次はこれをやりますので、参加してください。手伝ってください。」ってなっちゃうんです。どうしても受け身になって「前回、休んじゃったし、今回は行かないとマズいかな。。。」となり、顔を出しにくくなって、そのまま幽霊会員になってしまうかなと。パパ会はそういう組織ではなくて、ユルい感じが心地良いといったところはありますね。
山下さん(以下、山下) 「何やっているの?」って聞かれると困りますもんね。
全員 そうそう(笑)。


ママたちも推薦、関心事で繋がるパパの会
高村 「日本橋パパの会とはこういうものだ!」っていうものが無いのが、このパパ会の特徴かもしれませんね。強いて挙げるとしたら、「パパ友になって、ネットワークを作る」だけですかね。それをみんなで共有しているだけであって、あとはもう本当にみんながやりたいことをやりたい人が手を挙げて、「やりませんか?」と言う。そうすると「やります!」と言って人が集まります。
他にも、「この自転車いりませんか?」「いります!」「イベントのチケット余っちゃいました、早い者勝ちです。」「私、買います!」みたいな、そういうユルいところが根本にあると思います。
高坂 パパ達からのやりたいことを、ニーズから拾い上げていくとパパ会の運営や管理が大変になってきませんか?
眞鍋 そこは日本橋に集まる人たちの気質もあると思います。ベースがある程度大人で、そこそこ余裕もあって。人との付き合い方や、相手との距離感も分かっているから、場を荒らす人というのがほとんど居ないんですね。
山下 もし荒らすような行為をすれば、結果、自分の仕事にも跳ね返ってくるはずです。地域と密着したコミュニティなので、当然、子育てにも影響を及ぼすことは、容易に想像できますからね。
眞鍋 前代表の鹿子木さんもコミュニティの運営に関して、火消しやトラブルシューティングはほとんど行っていないと思います。ルーティーンとして入会メールにしっかりと返信したり、ホームページの更新をきちんとしたり、いわゆる「最低限のフレームワーク」の維持に注力されていました。
あとは「日本橋に住んでいる」「育児をしている(少なくとも子どもに関心がある)」メンバーである時点で自動的にスクリーニング(ふるいわけ)がかかります。だからトラブルは起こらないし、管理コストが最低限で済むのではないでしょうか。
高村 そもそも、パパたち自身が子育てに対する意識の高い方が入会されますので、フレームワークさえ維持できていれば、今後の運営もスムーズに進んでいくと思ってます。もちろん、ママたちから勧められて入会された方も結構いらっしゃいますけどね。
山下 ぼくらが引き継いで4ヶ月なんですけど、5人の入会連絡がありました。半分がママから「日本橋パパの会っていうのがあるみたいだよ!」と言われたみたいです。
高村 ぼくの入会同期の半分はママたちからの紹介なんですよね。最近、新しく入ってきた人たちに「何でパパ会を知ったんですか?」って聞くと「家内やママ友の推薦があって」と答えが返ってきます。
川上さん(以下、川上) ぼくもママからの紹介でした。いろんな場所にパパ会の貼り紙がしてあるけれど、全然見ていなくて、ママからこんなのあるよって聞いて。
高坂 ママ達がオススメする理由はどこにあるのでしょうか。
高村 育児に対しての意識を高めてもらいたいという狙いはあるでしょうね。
山下 近所に住んでいる会社の先輩から聞いたのは、ママからパパ会を勧められている理由の一つに「息を抜いてほしい。」っていうのがあるみたいですね。子どもが1、2歳の時、ママはもちろん手いっぱいだけど、それに付随するパパも手いっぱいで、息を抜けるというか、遊びに行くことをためらうパパもいるらしく…
川上 うちはやっぱりヨコの繋がりを作ってほしかったみたいです。元々、子どもがいない時って地域に知り合いが全くいなくて、その中で子どもが生まれて。育児の相談ができる人や友達も少ないから、一つのキッカケとしてそうしたヨコの繋がりを増やしてほしいというのが一番大きかったようですね。
高村 ここ日本橋地域というのは、元々日本橋生まれの人って比較的少なくて、移り住んできた人の方が圧倒的に多いんですよね。そうなるとヨコの繋がり(タテももちろんだが)があまり無いんですよ。子どもができるとそうした繋がりも、パパたちは必要だと感じます。ママに言われただけではなく、そうした意識もあって入会するんじゃないかな。
眞鍋 昔はその役割を町内会が担っていました。ただ「町」という狭いエリアで区切るっていう考え方が今の社会に必ずしも合っていません。今はSNS等を利用して個人の関心事で簡単に繋がれる時代だと思うんです。私たちも日本橋エリアと子育てが好きだといった関心のみで集まっているけれど、実際のパパ会はさらにユルく、日本橋に住んでいる人たちに限定すらしていないですよね。
全員 うん、そうだね。
眞鍋 日本橋で働いている人でもOKだし、それこそ「日本橋が好き」でも、パパではなくプレパパでもOK!なユルさ。一応最低限の枠はあるけれども、あとはみんなの関心事で自律的に繋がっている。これが新しいコミュニティの形なんじゃないかな。

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160人規模の組織を運営するのは相当な労力を必要すると思っていましたが、実際はそうしたことはなく、自然体で活動している様子が手に取るように分かりました。やりたいことがあれば企画に賛同してくれるパパたちを集めて部活動として楽しむ。そんな様子がパパたちを惹きつけ、ママ達が注目するのだと感じました。
「日本橋×パパ×やりたいことをみんなで実行することができる環境」が合わさり、長く続く日本最大級の「日本橋パパの会」ができ上がっています。皆さんの雰囲気からそれがヒシヒシと伝わってきました。
後編は後日掲載いたします。
【日本橋パパの会】
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