働く街を地元のような心地よい場所に!
より知るために楽しむためにできることとは。
NPO法人 日本橋フレンド
【前編】日本橋エリアを盛り上げる強者たちの挑戦(7)

毎月1回、朝7:45〜8:45の1時間、日本橋をよりよく知るために「アサゲ・ニホンバシ」のイベントが開催されています。2017年3月で57回目が行われました。特定非営利活動法人(NPO法人)日本橋フレンドは、日本橋エリアの情報をより知ってもらうために、これまで多くのイベントを開催してきました。

今回、お話をお伺いしたのは日本橋フレンド事務局の中塚さん、佐久間さん、野口さん、山川さん。アサゲ・ニホンバシの面白み、楽しさ、そして日本橋フレンドを通して見る、日本橋の魅力について語っていただきました。
(インタビュアー:BETTARA STAND 日本橋  高坂信也)

▪️特定非営利活動法人(NPO法人)日本橋フレンド プロフィール
「働く街を、第2の地元に。」をテーマに掲げ、多くのワーカーが存在する日本橋で、ワーカーによる新たなまちづくりを推進している団体。
1ヶ月に1度開催している「アサゲ・ニホンバシ」をメインとし、ワーカーが主体となり、日本橋にまつわる様々なイベントを企画、運営している。

▪️アサゲ・ニホンバシ 概要
1ヶ月に1度、主に第3金曜日に開催しており、毎回2人のゲストを迎え進行していく。 1人目は「前の100 年」を創ってきた方【マエヒャク】と題して、老舗と呼ばれる100年以上日本橋を拠点とする方、もう1人は「後の100年」を創っていく方【アトヒャク】として、クリエイターやベンチャー企業、アーティストなどの方をお呼びしている。彼らの話を聞きつつ、日本橋にまつわる朝ごはん(朝餉)を楽しみながら交流する場だ。2017年3月度の開催で57回目を迎えた。

日本橋フレンド事務局の皆さん。左から野口さん、山川さん、中塚さん、佐久間さん。

日本橋フレンド、アサゲ・ニホンバシとは何か!?

高坂 本日は宜しくお願い致します。
ホームページを拝見させていただきましたが、改めてアサゲ・ニホンバシを含め、日本橋フレンドの活動について教えて下さい。

中塚麻子さん(以下、中塚) 日本橋フレンドは「働く街を、第2の地元に。」というテーマを掲げています。メンバーの構成としては、日本橋の会社員に留まらず、日本橋好きのワーカーで運営しています。コンセプトは、「日本橋のことをもっと知りたい!」。知るためにイベントを催すことで様々な人と交流し、繋がり、“日本橋”というエリアがもっと盛り上がると良いなという想いで活動しています。その中で一番分かりやすい形となっているのが、「アサゲ・ニホンバシ」です。

アサゲ・ニホンバシは毎回2組のゲストをお呼びしています。日本橋エリアの老舗の旦那衆、歴史を引き継いできた方々を「マエヒャク」、クリエイターやベンチャー企業、アーティストなど日本橋で新しく事業を始めよう、続けていこうといった気概を持った「アトヒャク」の方々です。両方をゲストスピーカーとし、さらに皆で朝餉(*あさげ。ここでは、アサゲ・ニホンバシのイベントで食べることができる朝ごはんのこと。)を食べて交流する会になっています。

佐久間七子さん(以下、佐久間) 日本橋フレンドはアサゲ・ニホンバシをメインの軸として、日本橋を知るために「日本橋にまつわることならなんでもやろう!」と考えています。例えば、「アトヒャク」さんで登壇していただいた親方の相撲部屋でちゃんこ鍋を食べに行ったことがあります。また、毎年街で行われる「日本酒利き歩き」イベントのお手伝いをさせていただいたりします。他にも、過去にアサゲ・ニホンバシで登壇していただいた方々をご招待して交流するイベントを開催したこともあります。

高坂 では、1ヶ月に1度開催されるアサゲ・ニホンバシが日本橋フレンドの定期イベントになるのですね。企画会議などはどのようにされているのですか。

中塚 毎週月曜日の夜に定例会議を行っています。定例という名の、とにかく集まる会にしています。座談会みたいになっていますが・・・(笑)

山川知則さん(以下、山川) みんなで近況報告をしています。あとは「新しくアサゲ・ニホンバシを手伝いたい」と言ってくれたスタッフにも声を掛けて、会の雰囲気をみてもらっています。

高坂 実際に会議の様子を見てもらうのは大事ですよね。現在、日本橋フレンドは何名で運営しているのですか。

佐久間 イベント当日のみ手伝ってくれるスタッフも含めると50人くらいでしょうか。定例会議に来るコアメンバーは20〜30人くらいで構成しています。

野口淳さん(以下、野口) 2、30人が毎回来るわけではないですね。その中で来れる人だけ定例会議に出席しています。

佐久間 あと、今回の4名+代表の川路という者がいて、体制としてはその5名を中心にしつつ、アサゲ・ニホンバシをコーディネートする約15名ほどのメンバーで運営を行っています。

中塚 お金をもらって常駐している人たちはいないですね。みんなボランティアだし、他に本業を持っています。ですので、みんなでカバーし合っていますね。

高坂 「マエヒャク」「アトヒャク」の企画はいつ決まったのですか?

中塚 第1回目からの形を引き継いでいますよ。

佐久間 マイナーチェンジを少しずつしながらですが、基本的にはそのスタイルを変えていないですね。

元々は、日本橋に本社がある会社の若手たちが、「日本橋に働いているのにあまりよく知らない」「飲食しようと思っても銀座方面に行くことが多い」と。
みんなが集まれる朝に勉強会のようなことから始めて、「もっと輪を広げていこう!」という流れからNPO法人という形になったようです。それから色々な人たちが合流していき、今の状態になっている、と聞きました。

アサゲ・ニホンバシの仕組みとは!?

高坂 そうなんですね。「マエヒャク」「アトヒャク」の方はどのように決めているのですか?

山川 過去にご登壇していただいた方からご紹介いただいたりもしています。最近だと、「スピーカーとして登壇したい!」とおっしゃっていただけます。

中塚 ただ、みんなで全方位、外交的に営業もします。
「日本橋フレンドはこういう団体です!」「アサゲ・ニホンバシでお話いただけませんか!」「日本橋のために一肌脱いで下さい!」と言って力強くお願いしています。

高坂 選定の基準はあるのですか?

佐久間 「マエヒャク」さんは老舗としています。アサゲ・ニホンバシでは、3代以上続いているところを老舗とカウントしてます。
「アトヒャク」さんは、なるべく広告色や商売っ気があまりない方にお願いしていて。数ある街の中でなぜ日本橋を選んだのか、という点がちゃんと語れる方に依頼させていただいています。

高坂 交渉はどのようにされるのですか?

佐久間 メンバー内で担当制にしています。

高坂 朝餉(あさげ)も同様ですか?
(*朝餉とはアサゲ・ニホンバシのイベントで食べることができる朝ご飯のこと。)  

山川 「1食500円で提供したいです!」と営業に行きます。

佐久間 日本橋でご飯を食べるときは、朝餉(あさげ)に使えるかも、と考えてます。

山川 日本橋にまつわるもので、できるだけ美味しく素敵なものをご提供したいですね。

 

中塚 なるべく「オリジナルメニューを作って下さい!」と言っています。

佐久間 既存ではなく、アサゲ・ニホンバシでしか食べることができない朝餉(あさげ)にしたいですね。その点がお願いどころではあるのですが。

日本橋フレンドで活動するオモシロさとは!?

高坂 アサゲ・ニホンバシを含めた多くのイベントを企画運営されている中でやっていて良かったことや活動での手ごたえはありますか?

中塚 やっぱり挨拶できたときかな。
「おお!なかつかちゃん!」と声を掛けてもらうことも多くなりました。挨拶を街の人たちと交わせるようになったのは良かったことですね。

野口 お昼ごはんをみんなで食べに行けるときかな。日本橋フレンドのメンバー内で1ヶ月に1〜2回は老舗のお店にお昼ごはんを食べに行く機会を作っています。そうすると、1人だと入ることが難しそうなお店も行けるんです。
それだけで僕がこのコミュニティに入った意味はあるので、長く楽しい時間を過ごすことができています。これがアサゲ・ニホンバシの参加者の中でも起こったら良いなとも思いますね。

山川 日本橋のお店ってハードル高いですよね。高いところが多くて、一見で行くのが難しそうに感じます。
以前ご登壇いただいた方がお話されていたのですが、「敷居は低く、格式は高く」と。お店側は入ってきてほしいんですけど、街の人側から見ると敷居が高い印象がある。その印象を(アサゲ・ニホンバシのような)イベントを行うことで、ハードルを下げることができているのではないかと思っています。現に僕らが行きやすくなっていますから。

佐久間 会いに行く感覚でしょうか。行きつけのお店とまでいかないけど、ごはんを食べに行って少しお話して職場に戻る。そこが日本橋らしいなと。そうしたお店の人に会う、という感覚を持つことができたのは、すごく良かった点ですね。

高坂 そうした関係性を作ることができているんですね。

佐久間 作り上げてきた!ですかね(笑)

中塚 やっぱり長く続けてきたことが大きいかな。1年ではそうした人間関係はできないし、4、5年活動してきて仲良くなってきたかな。

佐久間 ようやく街に認めてもらえたのかなと。「日本橋フレンドでしょ!」「アサゲ・ニホンバシでしょ!」とみんなに言ってもらえるようになりましたね。

高坂 その認知度の向上には何があったのでしょう?

中塚 地道に毎回休まずに続けたことかな。これで57ヶ月、1回も途切れずに開催できているので。

山川 毎回参加者の半分くらいは、初めての方なんですよ。そういう意味では、広がってきているのかな、と感じますね。続けているということがすごく大事なんだと思います。

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ワーカーが1日の中で一番多くの時間を過ごすのは、働いている場所ではないでしょうか。働いている街のことを知らないのは面白くないですし、もしかすると大きな損をしているかもしれません。「働く街を、第2の地元に。」のテーマはとても興味深いし、そうなるともっと働くことを含め、生活が楽しくなるような気がします。

毎月休まず開催されているアサゲ・ニホンバシ。メンバーの皆さんで「マエヒャク」「アトヒャク」「朝餉(あさげ)」のアテンドまでされていることに驚かされました。イベントの内容も第1回からほぼ変わらず続けられていることに凄さを感じます。そうした活動が続けられている原動力が気になりました。

後編はコチラです。

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