地方にこそ呼び込むべきインバウンドと、新しく生まれ変わる寝台列車 R.project代表・丹埜倫【後半】日本橋エリアを盛り上げる強者たちの挑戦(3)

株式会社R.projectは「日本に眠るポテンシャルを発揮する」をビジョンに掲げ、合宿事業とバジェットトラベル事業を展開している会社。2つの事業を軸に、日本各地で見落とされている魅力を再発見し、地域と共に新しい人の流れをつくることを目指しています。

前編は株式会社R.projectが行っている取り組みや、これからの日本橋について紹介しました。後編は、2020年を見据えたインバウンド需要と、寝台列車北斗星を使用した新施設について話を伺いました。

プロフィール
代表取締役 丹埜 倫(たんの ろん)
1977年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、ドイツ証券東京支店、リーマンブラザーズ証券東京支店に勤務。日本株トレーダーとして勤務する傍ら、スカッシュの日本代表として世界選手権に出場。2006年に金融業界を離れ、株式会社R.projectを設立。自身が中学校時代に通った千葉県鋸南町(きょなんまち)の保田臨海学校を千代田区から譲り受け、リノベーションの末に「サンセットブリーズ」という人気合宿施設として再生。その千葉県や山梨県で事業を拡大し、6つの市町村で合宿事業を展開。2015年からは訪日観光客向けのバジェットトラベル事業も開始。歴史ある問屋街、日本橋横山町の旧問屋ビルをリノベーションしホステルとして運営しています。今後は、自身が高校を中退した経験を元に、既存のカリキュラムにとらわれないインターナショナルスクール事業を構想中。

【インタビュアー】 YADOKARI株式会社 熊谷 賢輔

日本人が好む場所と、外国人が好む場所は違う

熊谷 2020年に東京オリンピックが開催されます。これから拡大していくインバウンド需要をどのようにお考えですか?

丹埜 確実にインバウンドは増えていくと思います。それも、長期的には都心ではなく地方の需要です。日本人が注目をしていなかったエリアが、外国人に知られれば人気が出る可能性も十分にあります。日本人は、皆が行っている人気のエリアへ行きたがりますが、外国人はオリジナリティ溢れ、ブランドに依存しない、ポテンシャル(潜在能力)が高い街を好みます。今でこそ観光地として有名な北海道のニセコや、群馬のみなかみ町など、本来衰退していた町に外国人が来たことで、観光地として成り立った町は少なくありません。そういったポテンシャルが感じられる町にこそ、外国人を呼び込む意味があると思います。

我々が合宿事業を運営する町にもインバウンドを呼び込むつもりです。合宿事業の場合、夏休みと春休みがピークです。これらのピークにあまり左右されないインバウンドのお客さんを取り込めればビジネス的にもメリットが大きいです。それは5年前から考えていました。

*約1年前に日本橋横山町にオープンした「IRORIゲストハウス」

当時、東日本大震災の影響もあり、ホテルでは空室が増え、閑古鳥が鳴いている状態でした。そんな中、浅草にあるサクラホステルやカオサンなどのゲストハウスの部屋は高稼働。不動産の有効利用という観点で見ても、面白い運営をしているなぁと、興味がありました。いわゆるバックパッカー層が増えてきた頃だと思いますが、まだまだ彼らは有名都市しか知りません。今後は地方への流れが始まると思っています。

インバウンドは年々増えている傾向にあります。しかし、今でも我々が施設を運営している地方には誘致できていません。千葉に行く理由と言えば、ディズニーランドに行くぐらいですもんね(笑)我々が運営する施設がある千葉の南房総に人を誘致したいと考えています。地元行政も同じく考えていて、例えば成田から無料バスを出すなどの取り組みを行ってきました。でもなかなか効果が出ない。インバウンドの人たちは、とりあえず東京を目指しますからね。

1社だけで取り組むには限界がある

熊谷 私も都心に住んでいますが、なかなか南房総に行く機会はありません。何か施策はあるのですか?

丹埜 我々が狙っているのは、都内を訪れているバックパッカーの層です。彼らは、日本に2〜3週間滞在するにも関わらず、ほとんどスケジュールを決めていません。その上、彼らは人一倍好奇心を持ち、知られざる土地を好みます。そういう人たちの心を掴みながら、我々の運営する施設や地方への流れを作りたい。都内の施設で彼らに泊まってもらい、地方の生の情報を伝え、人の流れを作っていきたいです。

そうは言いながらも、IRORIゲストハウスを約1年間運営していますが、その流れを作ることができていません。やはり、1社のみで仕組みを作るのは、とても難しい。これからは、地方行政と一緒になって取り組みをしていきたいと思っています。彼らは情報を発信することを課題としています。そこをお手伝いするのです。

地域の特産であるアジの干物の販売や、南房総のイベントを普段から行うなど、観光業界や地元の漁師とのコミュニケーションを増やし、我々が情報の発信をしていくのです。先程お伝えした、都心から地方へインバウンドを誘致するためにも、細かい情報が重要になります。最近日本橋エリアはホステルが増えていて、来年にはバックパッカーが毎日700〜800人滞在している状況になると思います。そうなったら、例えば南房総に行ってみたい人が毎日数人いてもおかしくありませんよね。我々はバスを持っていますし、人数が多いようだったらバス会社と組むことで、動線を引いてあげればいいだけです。

廃車寸前の寝台列車北斗星が蘇る!

熊谷 12月中旬にオープンする新しい施設についてお話を伺ってもいいでしょうか?

丹埜 JR東日本様と一緒になって作った新施設「Train Hostel 北斗星」が、12月中旬に日本橋馬喰町にオープンします。JR東日本様は、沿線、特に地方へのインバウンド施策を考えてらっしゃいました。そんな中、JR馬喰町の駅ビルを購入する計画があり、その利用目的として宿泊業が候補に挙がり、我々に声がかかったんです。

初めから北斗星を使用する話で進んでいたわけではありません。施工しようとしていたビルは、何の変哲もない建物でした。我々のノウハウを生かして面白くしようと考えたのですが、窓が少なく、小部屋を作ることが難しく、頭を悩ませていました。

*寝台列車北斗星の車内のベッド

そんな時に、「寝台列車を使ったらどうでしょうか?考えてみれば寝台ってホステルのつくりですよね!」と、素晴らしいアイディアが弊社広報の金子から出されたんです。たまたまその時期に、北斗星が廃車になるということだったので、さっそく打診をしました。もちろん、初めは簡単なことでは無いと思っていました。いくら廃車とはいえ、熱狂的なファンの方もいますし、海外でリユースされる可能性もあります。

*素晴らしいアイディアを出された広報の金子さん

しかし、「旅の出発点であり、旅が始まる」という施設のコンセプトがあれば、必ず共感していただけると。インバウンドではなく、むしろ日本の北斗星ファンの方たちに喜んでいただけるはずと思いました。

都心から地方への人の流れを作りたいと考える我々にとっては、ありがたいお話でした。JR東日本様は、正にベストパートナーなのです。特に、JR東日本様が力を入れる東北地域は、震災後もインバウンド客がまったく増えていません。1社でやるのではなく、複数の会社が一緒に取り組むことで、新しい変化が起きると思っています。

*IRORIゲストハウス・スタッフ野村さん(左)広報・金子さん(中央)YADOKARI 熊谷(右)

丹埜社長は次の打ち合わせへ。お忙しい中、まことにありがとうございました。
取材インタビューは「IRORI Nihonbashi Hostel and Kitchen」で行いました。

まとめ

丹埜社長が「日本に眠るポテンシャルを発揮する」をビジョンに掲げ、熱量を持って話をする姿がとても印象的でした。目力が強いので、途中から圧倒されてばかり…地域に根ざした活動をされている株式会社R.projectさん。課題を明確にし、それをクリアするためにスタッフ一同で施策を着実に進めている活動は、我々も勉強になりました。

日本橋に来られて宿に困ったらIRORIゲストハウスさんへ行ってみてください。スタッフの方たちが温かくお出迎えしてくれます。「Train Hostel 北斗星」は12月中旬にオープン予定です。

株式会社R.project(アールプロジェクト)

http://rprojectjapan.com/

IRORI Nihonbashi Hostel and Kitchen

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IRORI Nihonbashi Hostel and Kitchen

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IRORI Nihonbashi Hostel and Kitchen 35.692642, 139.783682 〒103-0003 東京都中央区日本橋横山町5-13この記事のURL:http://bettara.jp/interview/612/東京都中央区日本橋横山町5-13 (ルート検索)

日本橋 新施設「Train Hostel 北斗星

〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町 1-10-12

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Train Hostel 北斗星

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Train Hostel 北斗星 35.694034, 139.782844 〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町1-10-12この記事のURL:http://bettara.jp/interview/612/東京都中央区日本橋馬喰町1-10-12 (ルート検索)